僕が提案するダサいロックンロールのはなし #2 Gary Moore
ギターヒーローというのはカッコよくなくてはならない。
何故なら、ヒーローとはそういうものだからだ。Tom Keifer、Jimi Hendrix、Jimmy Page、Ritchie Blackmore、Jeff Beck、Yngwie Malmsteen、Zakk Wylde、Paul Guilbert... きりがないがとにかくみんなカッコいいのである。そうでなければギターヒーローにはなれないのだ。そういうルールなのだ。稀にそうでないギターヒーローもいるが、それでもやはり異色を放っていたり強いカリスマ性があったりと、何かしら憧れの対象になる魅力を必ず持っている。それがギターヒーローというものだ。
さて、Gary Moore である。
特に薀蓄も無いしこの時代は誰よりも Wikipedia である。
アイルランドで生まれた彼は Thin Lizzy というグループでおそらく初めて表舞台に立ったのではないだろうか。その前に SKID ROW(あの SKID ROW ではない)という妙チクリンな前衛的なバンドを少しやっていたが、あんまり売れなかったのではないかと思う。CD もあるので変なバンドが好きな人は漁ってみるとおもしろいだろう。彼は最初ロックをやっていたのだがやがてへヴィメタルに傾倒し、そしてブルースへ回帰した。
Gary Moore の魅力はなんといってもその顔である。画像検索をするとレスポールを持って吠えている写真が結構みつかると思うが、その姿のなんとも残念なこと。サラリーマンがオヤジバンドで吠えている感じがある。会社ツラい。家もツラい。嫁も娘も冷たい。ツラい。そんな味わいがある。
あとおばちゃんにも見える。東京の電車に乗っているとこういうおばちゃんが向かいの席で眠っていたりすることがある。アメ横などにもいたりする。
あと足が短い。
しかし、これが Gary Moore である。文句無しに最高にカッコいいのだ。見た目おばちゃんなのになぜかギターが上手い!歌も良い!
パリの散歩道を初めて聴いてこの人にたどりついた人も多いのではなかろうか。Gary Moore のギターは力強く艶っぽい。決して器用ではない。だが繊細だ。
あまり新しい方の CD は持っていない。本当はもっとたくさんあるのだが、ほんの少しだけおすすめを。
- Blood Of Emeralds
アイルランドの色合いが強いヘヴィな曲。「ダブリンはクソだったがそれでも私の体に流れるアイリッシュの血は」みたいな曲(だと想像する)。アイルランドのメロディは日本人にとてもよく馴染む。
- Still Got The Blues
ブルース回帰した時の佳曲。メロディが素晴らしい。ギターソロも良い。ブルースマンとしてはやや弾き過ぎた感があるが全く問題ない。
- The Messiah Will Come Again (2016-03-31 追加)
うっかり失念していたので追記した。文句なし。30回くらいループで聴ける。
いづれも非常に酒の進む音楽である。酒の旨くなる音楽なのだ。一部の人たちにとって、彼は紛れもなくギターヒーローなのだ。