さこ街浪漫

GO ON A HIGHWAY

地方のスナックに行ってきたはなし

ちょっと仕事で地方に行ってきたはなし。特に何もない。

 

中核都市とかではなくて田舎町である。駅前にコンビニが一件。喫茶店やチェーン居酒屋などは無い。ただ、何故かスナックが多い。駅の周辺だけでも、ざっと50件程度はありそうな感じがする。
 
宿泊は小さなビジネスホテルであった。小さいがとても気持ちの良いホテルだ。街には民宿もそれなりにあるようだった。人はあまり見かけないのに受け入れる準備は整っている、という不思議な地域。本当は歴史のウンチクなどを織り交ぜながら書くと少しはそれっぽい感じになるのだろうが、残念ながらそれほどの力量は持ち合わせていない。
 
さて、その晩はホテルに戻った後、少しだけ時間があったのでホテルの周りを散歩しようと思って一人で外へ出た。ホテルから駅の方へは何度か通っていてなんとなく様子は知っていたので、駅と反対の方向へ歩いてみた。少し歩いて県道を横切ると、飲食店らしき看板が数件、道の両側に並んでいる区間があった。商店街ではなく、そこだけ小さな小さなスナック街みたいな感じになっていた。
 

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せっかく知らない土地に来たことだし、地元っぽい何かに触れて帰りたいと思っていた。何軒かはカラオケの音が漏れていた。ちょっと静かに一杯だけ、と思っていた僕はその中にある一つのドアを開けた。店の名前は... 確か花の名前だったような...。

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ドアを開けると、ママらしき人物がカウンターで何か作業をしていた。何の作業かはよくわからなかった。「こんばんは...」ママらしき人物は少し驚いた様子で、「ハイ... あ、飲みに来たの?」みたいなことを言いながら僕が返事をするのを聞かずに奥へ。
 
「なんかのセールスの人かと思って~」などと言いながらママらしき人物(いや、おそらくママなんだろう)はカウンターの中で支度を始めた。気付くと、カウンターの端に小さなテレビ、いや、何かの携帯端末だろうか、それがあって何かを放送しているようだった。ママはそれで映画を見ていたようだ。中断させてしまって申し訳ないと思った。
 
最初に「焼酎ありますか」と尋ねたら、米と麦があるというので麦にした。お通しに枝豆をいただいた。僕はスマホをいじりながら枝豆を食べていると、イカ焼きが出てきた。居酒屋で見るような丸ごとサイズではない。うまい。
 
店は、どうやらママが一人で切り盛りしているようだった(まあだいたいそうか)。少し訛りがある。僕には「ちょっと知らない土地に来ている」感があり嬉しかった。カウンターの端にはカラオケが設置されていた。ママ曰く「誰も歌わない」のだそうだ。なんでも、静かなことで有名な店だという。「でもお客さんが気を遣ってたまに歌う」のだそうだ。液晶テレビもあるのだが、今は映らないらしい。
 
枝豆とイカ焼きを食べていると、今度はかっぱえびせんが出てきた。浪江焼きそば味という地域限定の銘柄らしかった。なるほど、酒のつまみにとてもよく合う。僕は変わらずスマホをいじりながら麦焼酎をちびりちびりとやっていた。時折、何かの話をした。
 
焼きそば味のかっぱえびせんを食べていると、「生野菜食べます?」と訊かれたので「あ、はい... いただきます」と答えると、ママは野菜を切り始めた。しばらくすると野菜サラダが出てきた。二人くらいでつついてもよいほどの大盛りであった。軽く腹が減っていた僕はそれをもりもりと食べた。おいしい。葉物の匂い。トマトの匂い。野菜は地元の物だそうだ。どちらからでもなく、自然とあの地震の話になった。「あのとき潰れちゃってもまぁよかったんだけどね~フフフ」ママが笑った。
 
野菜を食べていると、今度は果物が出てきた。梨を二種類(豊水ともう一つはちょっと忘れてしまった)、お姉さんの家で獲れたかき、マスカット。中くらいの皿にたくさん盛られていたが全部食べてしまった。おいしい。果物をかじる機会が普段無いので余計においしく感じた。
 
最後に聞いたのだが、どうやらママは下戸っぽかった。ビールをグラスで少しだけ飲んだりすることはあるのだが、普段は全く飲まないのだとか。
 
というおなはし。